7,誰にでもある尿失禁の話
 おしっこが自分の意思とは関係なく漏れてしまうことを尿失禁といいます.咳やくしゃみをした拍子に尿が少しだけ漏れる,なんてことを経験したことのある方はずいぶん多いはずです.しかし,たとえ相手が医者であっても,なかなか相談しにくいことなので,人知れず悩んでいる方はとても多いのではないでしょうか.ある報告によれば,元気に一般社会で暮らしている高齢者の15〜30%もの方が,尿失禁に悩んでいるそうです.
 尿失禁が起こる原因には色々あります.その代表選手は,膀胱炎,薬,糖尿病,心不全,前立腺肥大症(男性),便秘などでしょう.このような原因で起こる尿失禁の場合は,比較的治療がうまくいくことが多いのです.たとえ完全に良くならなくても,症状が軽くなるだけで随分喜んでいただけます.なかでも,薬は要注意です.普段皆さんが割と気軽に服用されている薬の中にも,尿失禁を起こしやすくするものがあります.例えばかぜ薬,安定剤,血圧の薬,喘息の薬,心臓の薬などで尿失禁が起こってくることもあります(決してこれらの薬だけが原因という訳ではありません).
 とくに,比較的最近になって急に起こってきた尿失禁は,多くの場合,治療がうまくいきます.もちろん,慢性的なものも良くなる可能性は十分あります.診断の上では,問診が一番大切です.ご自分の経験を医師がよくわかるように説明していただく必要があります.例えば,突然,尿意を感じて我慢できずに漏らすとか,咳やくしゃみに伴って漏れるとか,夜間が特にひどいとか,症状には個人差があり,それを的確に医師に伝えることが正しい診断の糸口になります.できれば,一日の排尿(おしっこを出すこと)日記をつけて持参していただくと非常に助かります.何時におしっこをして,何・位出たか,またこのとき失禁があったかなかったかを,一日分記録してみてください.
 場合によっては詳しい膀胱の検査が必要なこともありますが,一般には問診や簡単な検査でかなりのところまでわかります.また,生活指導や薬の服用で改善することも稀ではありません.
 尿失禁を「年のせい」と諦めてしまう前に,ちょっと相談してごらんになりませんか.当院では外来で尿失禁の相談をお受けしています.詳しく診察するために予約をしていただく必要がありますが,お気軽に声をおかけください.

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