5,こわーい頭痛の話
 体のどこかが痛いのは辛いものですが,とくに頭痛で苦しんだ経験がある方は多いと思います.何といっても脳は人間の体のなかで最も大切な部分ですから,頭が痛いと「脳卒中になったのではなかろうか?」とか,「脳腫瘍ができたのではないかしら?」などと,不安に駆られるものです.そこで今回は,ズバリ,怖い頭痛と心配ない頭痛の見分け方について,貴方にだけ(?)特別にお教えいたしましょう.
 頭痛のなかで最も怖いのは,何といっても脳卒中,とりわけ脳出血とクモ膜下出血です.どちらも対応が遅いと,命を落としたり,重い後遺症を残したりすることがあります.これらの病気が原因で起こる頭痛の一番の特徴は,起こり方が急であるということです.どのくらい急激かというと,たとえば,1秒前までは何ともなかったのに,次の瞬間,金槌で頭を叩かれたかのように痛むというくらい急なのです.ですから,たまたま時計を見る余裕があると仮定すれば,何時何分何秒に頭痛が起こったと言えるほどに,発症時間がはっきりしているのです.テレビの画面が切り替わるくらいに,頭痛の起こる前後がはっきり区別できると言ってもいいでしょう.医学書には「晴天の霹靂のような頭痛」という表現もあります.ですから,「午前中から何となく頭が重かったけれど,午後になって,だんだんズキズキ痛んできた」などという場合は,慌てなくてよいのです.また,脳卒中に伴う頭痛の場合には,しばしば吐きます.体の半分(右か左)の麻痺を伴うこともあります.このような頭痛は,病院へ直行です.
 あまり急激な起こり方でなくても,注意しなければならない頭痛もあります.一つは髄膜炎です.髄膜炎の頭痛は発熱を伴い,風邪の頭痛とちょっと紛らわしい場合も多いのですが,首を前方に曲げたり,背中を丸めて前屈みになったりするのが困難になったりします.髄膜炎の時も吐き気が多いのでご注意ください.
 もう一つは脳腫瘍による頭痛です.これは通常,徐々に起こって来るもので,病院を受診する数週間から数ヵ月前から頭痛があるとおっしゃる方が多いようです.徐々に強くなる頭痛,とくに咳やくしゃみをしたり,頭を低くした時にひどくなる頭痛は要注意です.脳腫瘍の場合も吐き気を伴うことが多いのですが,吐き気があっても,心配いらない頭痛もたくさんありますので,良くわからない時には病院でご相談ください.
 ここに挙げた頭痛以外は,多くの場合良性で,生活指導や服薬でかなりよくなります.これについては,次回お話しいたしましょう.

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