14,知っていますか?壮年内科・老年内科
 人は誰しも,他人の手を借りずに老後を元気で暮らしたいものだと考えています.しかし,実際はたくさんのお年寄りの方々が寝たきりになってしまっているのです.
 認知症や寝たきりの原因は様々ですが,中でも脳卒中や骨折が重要です.言い替えれば,脳卒中や骨折の予防こそ,健やかな老後を送るための前提条件と言えるでしょう.
 では脳卒中を予防するにはどうすればよいのでしょう?それは,脳卒中を引き起こす状況を極力避けることに尽きます.脳卒中を引き起こしやすい状況とは,高血圧,糖尿病,高コレステロール血症,心臓病,過度な飲酒,喫煙,ある種の血液・血管病などです.これらの病気の多くは老年になって発病するというよりは,むしろ壮年期にすでに始まっており,長い年月を経るうちに心臓や脳の血管に脳卒中の原因となる病巣を形成してくるのです.恐ろしいことに,脳の血管が破れたり詰まったりして脳卒中が起こってしまうまでは,全く自覚症状がないのです.自覚症状がないばかりにきちんと治療を受けることなく壮年期を過ごし,その後脳卒中に見舞われて半身不随になったり,言葉を失ったりした方々を私たちはたくさん見てきました.
 高齢者の骨折も同様です.老年期に入って骨を強くしようと思ってもなかなか難しいものです.若いうちから適度に運動し,カルシウムをたくさん取るような生活を送っておくことが必要です.また,肥満の管理も膝の関節を守る上で重要です(特に女性).
 このように老年期の健康な生活は中年〜壮年期の健康管理に負うところが極めて大きいといえます.そのような意味を込めて,私たちは「壮年内科」という言葉でその重要性を強調しています.「壮年内科」と「老年内科」は分けて考えることのできないものであり,一貫した管理が絶対的に必要です.私たちがお年寄りの方から病歴を取るとき,一見関係なさそうな過去の病歴,特に血圧や糖尿病などについて,しつこいくらいに伺うのはこのためです.老年病医療の現場にあって,「壮年内科」の重要性をもっと一般の方々に認知していただきたいと切実に感じています.

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