13,飲み始めるとやめられなくなる薬
 血圧が高いので薬を始めましょうと医師が言うと、「血圧の薬は飲み始めるとやめられなくなるので、飲みたくないのですが・・・」とおっしゃる方が少なくありません。同じ様なことはコレステロールの薬についても言えますね。
 このような考え方は一見、もっともに聞こえますが、本当にそうなのでしょうか。この問いに対する答えを出す前に、そもそも薬を飲むのは何のためなのかを考えてみましょう。高血圧の場合、これを放置すると将来、脳卒中(脳梗塞や脳出血)になる確率が飛躍的に高くなります。また、心不全も血圧と密接に関係していることが知られています。一方、血圧の薬を飲んで血圧を下げておけば、脳卒中や心不全にならずにすむ人が増えてきます。このように、血圧の薬を飲む最終的な目的は、単に血圧を下げることではなく、脳卒中や心不全など血圧に関連した病気を予防するところにあるのです。 確かに薬を長期間飲むと、いろいろな副作用が出てくることもあります。薬の副作用は怖いですね。そこで薬を飲んだほうがよいか、飲まないほうがよいか迷うわけです。このような時、医師は薬を飲むことによって得られる良い点と、薬を飲むことで被る悪い点を天秤にかけて、良い点が悪い点を上回ると判断したときにのみ、薬を勧めるのです。血圧の薬やコレステロールの薬などは、服用したほうが絶対に有利であるということが、しっかり証明されています。
 飲み始めるとやめれなくなると言うと、あたかも中毒になってしまうような印象を与えますが、血圧やコレステロールの薬などにそのような危険性は全くありません。途中でやっぱり飲むのをや〜めたと思ったら、やめることもできます(急にやめると血圧が高くなりすぎることがあるので要注意)。しかし中止後、血圧やコレステロールに関連した病気になる可能性は高くなりますので、薬を飲み続ける方が多いのです。決して薬がやめれなくなるのではなく、やめないで服用しておられるというのが本当なのです。
 東京に行くのに歩いて行く方はいないでしょう。飛行機の方が早く目的地に着くからです。しかし、飛行機は墜落するかもしれません。それでも皆が飛行機に乗るのは、飛行機事故は滅多に起こらないからです。薬の副作用も命にかかわるようなものは滅多に起こりません。また、多くのものは薬をやめたり適切な処置を施すことでよくなります。薬を怖がって血圧を高いままにしておくのは、飛行機を怖がって東京に歩いていくのと同じことのように思えます。

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