11,骨粗しょう症と骨折
 誰しも年をとって寝たきりになるのは怖いものです.寝たきりの原因として頻度が高いのは,何といっても脳卒中,認知症,骨折です.脳卒中や一部の認知症には予防する手だてがあります.血圧の調節がその代表ですが,患者の皆様も医師も脳卒中にかからないように,認知症にならないようにと真剣に取り組んでいます.
 一方,骨折の予防はどうでしょう?骨折を引き起こす最大の原因は転倒ですから,お年寄りが転ばないように,段差をなくしたり,廊下の照明を明るくしたり,歩きやすい履物を選んだり,色々と工夫することができます.ところが実際は,あまり実行されていないことのほうが多いようです.転倒の防止には,身体機能(視力や足の力など)の改善や薬物の調整も重要です.例えば白内障の手術で視力が上がったり,リハビリで脚が強くなったりすることで,転ぶ危険性がかなり低下します.また,血圧の下がりすぎ(特に立ったとき)やある種の睡眠薬の使用などが転倒に結び付くこともあります.主治医とよく相談してください.
 言うまでもなく,骨折は転倒だけが原因で起こるわけではありません.いくら転んでも,骨がしっかりしていれば,折れることもないはずです.言い替えれば,年をとっても丈夫な骨を維持できるよう,若いうちから気を配っておくことが重要なのです.加齢とともに骨が脆くなるのを骨粗しょう症 と言います.女性の場合は年齢だけでなく,生理があがって女性ホルモンが急に減ってしまうことも,骨粗しょう症を進める大きな要因となります.
 骨粗しょう症を予防するにはまず,毎日しっかり運動して,骨に適当な負荷をかけることです.逆に,使われていない骨はどんどん脆くなっていきます.信じられないかもしれませんが,長いこと寝たきりのお年寄りでは,介護者がおむつを変えるためにほんの少し足を広げただけで骨折を起こすことも珍しくありません.骨粗しょう症の予防の第二は,カルシウムをしっかり摂ることです.牛乳や小魚などを心がけて摂るようにしてください.さらに,最近は 骨が脆くなるのを予防する薬も色々とあります.寝たきりを心配するなら,脳卒中や認知症と同じように,骨折についてもしっかり関心を持って予防に励みましょう.
 ちなみに,貴方の骨の密度を簡単に測定することが可能です.60歳を過ぎたら(女性は閉経を迎えたら),一度は調べておきたいものです.

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