8,怖いお年寄りの骨折
 お年寄りに限らず骨折は怖いものです。しかし若い人の場合は、ほとんどの場合、治療によって治癒します。後遺症を残すこともない訳ではありませんが、骨折する前と同じような生活に戻れるのが普通です。ところがお年寄りの場合には、骨折を機に、寝たきりになってしまうことが少なくないのです。お年寄りの寝たきりの三大原因は脳卒中、認知症、そして骨折と言われているくらいなのですから。

 お年寄りの骨折はほとんどの場合、転んだときに起こります。普通ならとても骨折しそうもない崩れるような倒れ方でも、お年寄りでは簡単に骨折してしまうことがあります。長い間寝たきりのお年寄りの場合には、オムツを換えるためにちょっと足を強く押したというだけで、骨折することさえあります。その理由は、年をとるにつれて骨のカルシウムが少なくなって、脆くなっているからです。また、骨の腫瘍や代謝の病気で骨折しやすくなっている方もおられます。骨折しやすい部位は、腕(中でも肩関節や手首の関節の近く)、大腿骨の付け根、背骨などですが、特に大腿骨の付け根の骨折によって歩けなくなり、そのまま寝たきりになりがちです。背骨(腰椎や胸椎)の骨折で、腰や背中がひどく痛むために動けなくなってしまうこともあります。 
骨折すると患部を動かしたときに強い痛みを覚えます。言葉を話せない方でも、動かしたときに顔をしかめたり、唸ったりして痛みがあることを教えてくれます。さらに骨折した部位の周りが腫れたり変形したりするのが普通で、このような所見があれば骨折の疑いを持つのは簡単です。ところが、痛み以外にあまり所見がないこともありますのでご注意下さい。転倒した後、痛がったり歩けなくなったりしたら、必ず病院でレントゲンを撮って下さい。

 お年寄りが一旦骨折するとなかなか治りが悪く、寝たきりや認知症になることが稀でないので、何よりも転倒を予防することが大切です。お年寄りは足腰が弱く目が見えにくいという当たり前の事実を当たり前で終わらせず、自分の身に置き換えて、家の中の環境を整備してください。さらに、一度でも転倒したお年寄りは再度転ぶ確率が高いので、転倒しやすい要因が何であるかを病院で相談してください。例えば睡眠薬でふらふらしている場合など、原因を取り除くことで転倒を予防できることもあります。骨を強くする内服薬もありますので、骨折を経験したことのある方は、医師にご相談下さい。


まとめ
 ● 骨折の予防は転倒予防が第一
 ● 骨折の経験がある方は、内服治療も考慮

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「よりよい介護のための 89のヒント」メディカルレビュー社発行より引用しています