7,かかりつけ医を作ろう
 お年寄りの健康面で心配なことがあれば、どんな些細なことでも、かかりつけ医に相談できると安心です。こんなことを聞いたら笑われそうだとか、嫌がられるのではないか?などと心配することはいりません。かかりつけ医とは患者の皆様の身近な質問にお答えし、問題の解決に努力するのが本来の仕事だからです。介護を受けるお年寄りにとっては、親身に介護してくれる介護者に恵まれることが何といっても一番幸せなことでしょう。その上、信頼できるかかりつけ医に巡り会うことが出来れば申し分ないですね。
 世の中に名医と呼ばれる人は決して少なくありません。ただし、医療というのはつまるところ、患者の皆様と医師との間の人と人の付き合いですから、世間で評判の名医がそのまま貴方にとっての名医とは必ずしも言えません。ですから、最後はご自分自身で「この医師なら一緒にやって行ける」という信頼感を持てるかどうかが全てです。とは言うものの、かかりつけ医を選ぶに当たってどんな点に留意すればよいか、皆さんはぜひ知りたいと思われるでしょうから、参考までにご紹介しましょう。

 まず、問診に時間をかけ、よく説明する医師は一般に信頼に値することが多いと言えます。話を聞くにしても「ふんふん」と上の空で聞くのでなく、時々質問をはさみながら聞き取った内容をカルテに記入いているようなら、間違いないでしょう。病名をきちんと告げてくれるかどうかも大事です。わからないときは「わからない」と率直に言える勇気も必要です。話も聞かずにすぐに年だからと決めつけたり、検査ばかりするのは感心しません。ただし、口下手で口数が少なくも立派な医師はいますので、あまりこれにとらわれすぎないようにしてください。

 次に、急病の場合は24時間何時でも対応してくれることが大切です。もちろん、一人で開業している医師の場合などは、何もかも一人でこなすのは無理でしょうから「夜間はどこそこへ連絡してください」と、他の病院や救急センターを指定している場合もあります。どのような形にせよ、急病になってから、さてどこへ連れていこうかと頭をひねるようなことがないようにしなければなりません。もし急病で他の病院に入院したら、今までの病気に関する情報を速やかに提供してくれる医師でなければなりません。これは普段から紹介状などを依頼したとき、面倒臭がらずに書いてくれるかどうかで、ある程度見分けることが出来ます。
 専門分野にとらわれず、守備範囲の広い医師が望ましいのは当然ですが、とは言っても全ての医学領域を一人でカバーするのは不可能です。自分の力が及ばないと思ったら、直ちにその領域の専門家に紹介するのも医師の良心のひとつです。通常の診療で紹介をしてもらう時、広い交友を持っているかどうかも大事なチェックポイントです。紹介された先の病院が良い病院なら、さらに信頼は深まるでしょう。良医は良医を知っているものです。
 病院の善し悪しは医師だけで決まるものでもありません。看護師はもちろん、受け付け、検査、リハビリなど全てのスタッフが気持ち良く対応している病院は、きっと素晴らしい病院でしょう。
 以上、かかりつけ医を選ぶポイントをいくつか紹介しましたが、これはあくまでも一つの目安であって、絶対的なものではありません。結局は、いくつかの不満には目をつぶりながらも、全てを総合した上でここが良いと思う病院を選んでいるのが現状でしょう。ただ病院と患者の皆様とは人間同士の関係の上に成り立つものですから、お互いの相性というのは無視できない大切な要素でしょう。

 病院には、患者の皆様に育てていただいて良くなって行くという側面があります。現代の医療は患者の皆様が主役であることに間違いありません。ですから、医療を提供する側に改善すべき点があれば、遠慮なくおっしゃっていただいて結構です(投書箱など利用されてもよろしいかと思います)。そのような苦言を生かして、初めて病院は良くなっていくのです。また医療従事者は本来、患者の皆様に喜んでいただくことに仕事の意義を見出すものですから、良い点があれば「これこれは良かったですよ」とか「おかげで良くなりました。ありがとう」という一言をかけてください。それが明日への強力な活力になります。子供を育てるときには悪い点を叱り、よい点を褒めることが大切ですが、病院も全く同じです。自分の病院を自分の手で育てるという考え方を、皆様にも知っていただけたらと思います。



まとめ
 ● 病院選びの4つのポイントは
  「問診と説明」,「緊急時診療体制」,「適切な紹介」,「優れたスタッフ」

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「よりよい介護のための 89のヒント」メディカルレビュー社発行より引用しています