3,介護する人のストレス発散と健康維持
 介護は誰にでもできるように見えて、実は莫大な心身のエネルギーを消費する作業です。毎日の介護そのもので疲れ切っているときに、周囲の人はあなたのやり方を色々と批判したり、そればかりか、あれこれ口出ししたりするかもしれません。自分の血の繋がった肉親の介護でも大変なのに、まして嫁の立場で、どうして私一人が・・・・と涙を飲んだことがある方もおられるでしょう。

 介護のストレスが溜まると、情緒不安定になって家族と衝突したり、うつ病になって、何もかもやめてしまいたいと思ったりすることも珍しくありません。また、身体の調子が狂って、高血圧や狭心症などの病気になってしまうこともありえます。介護の対象がどんなに大切なお年寄りであっても、来る日も来る日も同じようなことの繰り返しでは、ストレスに押しつぶされそうになったとしても不思議ではありません。それは、あなたの精神力が弱いとか、愛情が薄いとかいうことでは決してなく、ごくごく自然なことであると受け止めてください。介護を提供する方の心身の健康維持は、介護を考える上で極めて重要な問題なのです。では、介護をする人の健康維持のために何を心がければよいのでしょうか?

1、何事も割り切る
 ストレスを自分だけの内に溜め込んでしまわないよう、普段から小出しにすることが何よりも必要です。ストレスを小出しにするためには、何事も割り切ることが大切なようです。一日のうち一時間だけはボーッとして音楽を聴くとか、月に一回は(ショートステイの利用などによって)介護から解放され、家の外で自分の趣味を思う存分楽しむとか、そんなことができるとストレスは少しずつ発散されます。このようなことを言うと、「私の家では、私がやらなければ誰もやってくれない」とか、「そんなことするとおじいちゃんが可哀そう」などとおっしゃる方が多いのですが、ここで割り切れるかどうかが、あなたの心身の健康を決定するのです。あなたの心身の健康はそのまま、介護を受けるお年寄りに反映されます。あなたがどんなにお年寄りのことを思って一日中休みなく付き合ったとしても、疲れた体と心で接するならば、お年寄りは決して幸せとは言えません。あなたの体からいつしか優しさが消えているからです。たとえ他の人の手に委ねられる時間があっても、戻ってきたあなたが素敵な笑顔を見せることができるならば、その方がお互いにとってどんなに幸せかしれません。

 一般に、介護でストレスを溜めやすいのは、何事にも几帳面で真面目なタイプの方が多いように思います。物事をいい加減にやったり、中途半端に終わらせることが嫌いで、人に物事を要求したり嫌なことを言ったりするのも苦手です。それはそれで優れた性格なのですが、優等生を続けるのは程々にして、「まあいいや」とか「何とかなるよ」という気持ちを持つと、顔の深い縦皺がなくなるようです。また、私は嫁だから・・・・と思ってばかりいないで、家族や親族の中で役割分担を思いきって提案してみてはいかがでしょう?「あの人は何でもズバリものを言えて羨ましい」というような人が、周りに必ずいることと思います。そんな人が案外皆から好かれたりすることもありますね。ものの言い方など参考にしてみてはいかがでしょう?多分、あっさり、さっぱり、にこやかに話しているのではないかと思います。家族や親族の協力がどうしても難しい場合もあるでしょう。こんな場合も決して諦めず、介護保険などを利用して自分の時間を作るよう試みてください。自分にはできないと思ったら、それからは先へ一歩も進みません。そして、あなたのストレスは確実に溜まっていきます。まずやってみましょう。

2、辛いことは口に出す
 この他、介護の苦労話を聞いてもらうのも良いストレス発散方法なのですが、家族や親族を相手に話すのはやめておきましょう。口論になるのがおちです。病院、デイケア、デイサービスなどのスタッフは職業人として介護の苦労はよくわかっているので、仲良くなるとちょっとした愚痴などこぼせるようになります。デイサービスなどで知り合った他のご家族も、介護の苦労を共感を持って聞いてくれるかもしれませんね。
精神的な落ち込みが激しいときには、恥ずかしいなどと思わないで必ず精神科の医師に相談してください。ほんのちょっと薬を使うだけで、気分が随分楽になることもあります。

 要は諦めてしまわないで、自分のための時間を作ってその時間を存分に楽しむことです。そうすることが、介護を受ける方にとっても好ましい結果を生むということを覚えておいてください。

まとめ
 ●割り切って自分の時間をつくる
 ●少し休んで素敵な笑顔をお土産に
 ●一人で背負い込まずに役割分担を
 ●介護保険を上手に利用

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「よりよい介護のための 89のヒント」メディカルレビュー社発行より引用しています