2,床ずれを作らない愛情
 「床ずれ」という言葉はご存知ですね。長時間同じ姿勢で寝ていると、一部の皮膚が圧迫され続けます。その結果、皮膚の血液循環が悪くなり、炎症を起こして傷んでしまうことを「床ずれ」といいます。この状態がさらに進行すると、皮膚や筋肉が死んでしまい、骨にまで達してしまうこともあります。床ずれができやすいのは、骨が飛び出しているところ、たとえば尾?骨の周囲(仙骨)やかかとなどです。床ずれは全身の栄養バランスが悪いと、わずか1時間でもできてしまうことがあります。特に高齢者の場合は、老化に伴い皮膚の生理的な機能も低下していますので、床ずれ予防を十分に行わなければなりません。
床ずれは、一にも二にも予防が大切です。

○体位交換
 床ずれの防止対策は大きく二つに分けられます。まず一つ目は全身の栄養状態を良くすることです(高タンパク、高栄養)。全身の栄養状態が悪くなると、皮膚の耐久性が低下するばかりでなく、床ずれの治りが遅くなり、感染に対する抵抗力も弱まります。まずは水分を十分に取ることから始めなければなりませんが、水分でむせる場合は、トロミをつけるなどの工夫をしましょう。また、普通の食事が食べにくいときには、おかずを刻むと食べやすくなり、食事量が増える場合もあります。ただ、どうしても食欲が出ない、食事量が少なくなったと感じるときは、早めに病院にご相談ください。
 床ずれ防止対策の二つ目は局所管理です。局所管理の中には、@体の向きを変え、床ずれの発生を防ぐ体位交換 Aスキンケア(皮膚の手入れ) B局所にかかる圧を減らすための除圧用具の使用などがあります。同じ体位を2時間以上続けると、特定の部位に集中して圧力がかかり、床ずれができると考えられています。最低でも2時間おきに体位を変えなければなりません。体位交換の体の位置は、骨が出てない部分で体重を支えることができるよう、まっすぐ仰向けの状態から30度位傾けた状態が良いでしょう。この時、大きめのクッションなどで背中を支えると楽な姿勢を保つことができます。また、かかとが、どうしてもベッドに当たってしまう場合には、かかとの下にもクッションを当ててみてください。この際注意することは、小さなものを部分的に当てるのではなく、少し大きめの
クッションで、ふくらはぎ全体を支えることです。体を支える面積が狭いとそれだけ一箇所にかかる圧が増し、予防のための処置が、新たな床ずれを作ってしまうことにもなりかねません。

○スキンケア
皮膚の清潔が保たれず、湿った状態が続くこともまた、床ずれの原因となります。そこで皮膚の手入れが必要になってきます。排便・排尿後の処置が行き届いてないと、皮膚が湿ったままになり、尿や便の刺激で皮膚が炎症を起こしやすくなります。排便・排尿後は丁寧に拭き、汚れがひどい場合は洗浄するなどして皮膚を清潔にし、常に乾燥した状態を保つように心がけてください。

○除圧用具
 電気ポンプで空気を入れたり抜いたりし、体の圧を分散してくれる敷物がエアーマットです。エアーマットの空気の量は、使用される方の体重により違いますので、個々人に合わせて設定する必要があります。また、無圧敷き布団も除圧の目的にかなっています。ビーズパットは部分的な除圧用具です。ビーズパットに体重をかけると、中のビーズが動き体圧を分散してくれます。様々なサイズがありますので、組み合わせて使うことができます。この他にもさまざまな除圧用具がありますので、病院で相談されると良いでしょう。 
 以上のような心遣いで床ずれはずいぶん減ることと思いますが、それに加えて、普段からの観察も大切です。入浴時などは、全身の皮膚の状態を観察する良い機会ですので、皮膚の異常がないかしっかり見てください。床ずれはできるのは早く、できてしまうとなかなか治りにくいものです。しかし、介護者のちょっとした心配りで防ぐことができます。できてしまってからではなく、まず、予防から始めていきましょう。


まとめ
 ●床ずれは、できるのは早く、できてしまうと治りにくいもの
 ●気配り・心配りで、まず予防から

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「よりよい介護のための 89のヒント」メディカルレビュー社発行より引用しています